浴室で気をつけたい転倒対策とは

介護現場において、高齢者の転倒対策は特に気をつけたいポイントである。なかでも、高齢者が入浴する際は転倒のリスクがあちこちに潜んでおり、介護現場の転倒対策を重点的に図りたい場面の一つといえる。高齢者は、加齢に伴い筋力やバランス能力が低下するため、転倒のリスクが高まる。特に浴室は濡れて滑りやすい環境であるため、より一層の注意が必要である。

脱衣所と浴室に段差がある場合は、転倒の大きな原因になり得る。足腰に問題がない人でも、段差につまづき倒してしまうケースは少なくない。段差がないバリアフリーの浴室であっても、床が濡れているため滑りやすく、転倒の危険性がある。そのため、介護現場では、浴室や脱衣所で高齢者を単独で立たせたり歩かせたりすることを避け、介助が必須である。手すりや歩行器などを活用して高齢者の移動をサポートすることで、転倒のリスクを軽減できる。

浴槽への出入りや、シャワーチェアへの着座など、姿勢を変える際にも転倒のリスクは高まる。高齢者は、これらの動作を行う際に足腰に無理な力が入ったりバランスを崩したりすることがある。そのため、介護職は、れらの動作を補助し、安全な姿勢変化をサポートしなければならない。また、浴槽内に滑り止めマットを設置することも、転倒防止が図れるのでおすすめだ。

高齢者の転倒は、骨折などの大きな怪我に繋がる可能性がある。転倒を予防するためには、浴室環境の整備だけでなく、高齢者の身体状況や能力に合わせた適切な介助が不可欠である。介護者は常に危険を予測し、安全な入浴介助を心がけることが大切だ。